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No.15「伊達政宗 大阪攻めの巻」

伊達政宗」第六巻です。ついに始まってしまった大坂の陣政宗は世界を股にかけた壮大な作戦を決行するのですが、果たしてうまくいくのでしょうか?

 

政宗は忠輝ではなく家臣の支倉常長とソテロを乗せて出港させます。彼らの任務はスペインの大艦隊を日本に連れて行くことです。大坂の陣が長引くとみた政宗は、両者が疲弊したところで伊達家率いる大艦隊が仲介に入ることによって、新政権を立ち上げられると考えました。忠輝を新将軍に据えることによって日本を掌握し、また日本の顔として世界に伊達政宗を売り込もうという算段です。

 

一方家康は亡き秀吉に報いようと、できるだけ豊臣家との武力衝突を避けようと紛争します。ところが豊臣家家臣の片桐且元によってその努力は水泡に帰しました。且元は徳川と事を構える気がないことをアピールするため、大判の鋳造を行います。黄金の鐘を通貨にすることによって豊臣家の財力を減らそうとしたためですが、世間はこれを戦の為の軍資金調達だと捉え、豊臣、徳川双方の軋轢が逆に増してしまいます。政宗の目論見通り、大坂の陣は切って落とされたのでした。

 

政宗の胸算用では着々と計画が進行していきます。大坂の陣が起こること、2回に分けて戦いが起こること、全て政宗の計算通りでした。しかし、やはり家康は政宗の上をいきます。

 

家康は政宗の大艦隊計画を見破っていました。それどころかスペインの大艦隊などとうに存在しないことを政宗に告げます。実はこの頃スペインは海戦で敗北し、その国力はすでに衰退の一途を辿っていました。日本に滞在していた南蛮人よりも先んじて情報を掴んでいた家康は、貿易国を紅毛側へとシフトします。家康は政宗よりも洞察力、情報収集において全て上をいっていました。

 

流石の政宗もこのときばかりは家康との格差に絶望を感じます。普段決して人前で寝ない政宗ですが、その禁忌を破るほど意気消沈していました。そんな絶望の淵の政宗に鼻息の荒い忠輝が訪れます。政宗に頭ごなしに押さえつけられることが我慢ならない忠輝は、病床見舞いと称して政宗に釘を差して去るのでした。