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No.14「伊達政宗 蒼穹の鷹の巻」

さて、ソクラテスの弁明から一転して伊達政宗シリーズの続きです。

 

今回の「伊達政宗」第5巻では、徳川家に仕える一武将、伊達政宗としての人生が描かれています。海外進出を夢見て政宗は南蛮船の建造を進めるのですが、これが大きな波乱を呼ぶことになるのです。

 

本編を書く前にまずは本書を理解するのに必要な当時の情勢を軽く語っておきます。当時の日本は南蛮人を中心とした布教が中心だったので、日本のキリスト教はプロテスタンが主だったと考えて良いでしょう。ところが徳川政権下では三浦按針こと紅毛人のウィリアム・アダムズが政府顧問を務めていたので、カトリックが徐々に派遣を握っていきました。関ヶ原の戦いから大坂の陣までは、この2つの宗派が日本で暗躍していたということです。

 

政宗は日本の覇権を握るのは諦めたものの、その野心は決して潰えたわけではありませんでした。政宗大久保長安どの出会いを機に、その情熱へと海外へと向かっていきます。まずはその第一歩として船の建造を始め、婿の徳川忠輝を中心とした日本の使節団を派遣しようとします。

 

ですがこの忠輝、若さ故に有り余る活力を持っているため、長安使節団の派遣を急き立てました。あまりに詰めが激しすぎたせいか、長安は気が触れてしまい、とうとう死んでしまいます。

 

長安の死により、政宗は当初の予定を大幅に変更しなければなりませんでした。更に家康は長安政宗が密かに企んでいたことも全てお見通しで、政宗が余計なことをしないよう釘を差します。

 

今家康にとって一番まずいことは、南蛮人プロテスタント)が主導権を取り戻すために豊臣方を担ぎ上げることです。豊臣が立ったところで負ける可能性はあまりないでしょうが、折角築き上げた平和が乱れるということ、何より、秀吉の恩に報いようと考えている家康にとって豊臣を潰すのは人情的に避けたいことでした。

 

結局、政宗はソテロを筆頭に南蛮人を裏から擁護し、家康は紅毛人を擁護することでなんとか国内の乱れを抑えようというところで落ち着きました。しかし、一段落した政宗のもとに大久保忠隣がやってきます。彼は徳川政権下の一大派閥として政権を握っていたのですが、擁立していた結城秀康が病死したため、大久保に変わって本多正信と正純の親子が政務を握るようになっていました。

 

忠隣が訪れたことによって政宗は泥沼の政権争いに足を踏み入れるのでした。