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No.9「伊達政宗 朝明けの巻」

今回の一冊は山岡荘八先生の、「伊達政宗 朝明けの巻」です。

山岡先生は戦前、戦後に活躍した文豪で、伊達政宗の他にも徳川家康織田信長歴史小説を手掛けた、歴史小説家の第一人者です。

 

本シリーズは全8巻で構成されており、本書は政宗生誕から二本松城攻めまでをテーマに書かれています。

 

伊達政宗は義姫と伊達輝宗との間に生まれた子です。この両親から受けた愛というのは両極端なもので、義姫は政宗を陰謀に利用しようとする一方、輝宗は政宗に大きな愛情を持って育て上げました。その父の愛もあってか、政宗は小姓としてつけられた片倉小十郎伊達成実と共に立派に育ちます。

 

しかしながら戦国の動乱は悠長な時間を与えず、政宗はわずか11歳で元服を果たします(信長や家康よりも早いです)。ですが、自身の妻選びを利用して田村家と同盟を結ぶなど、周囲の不安を吹き飛ばすように才覚を発揮します。

 

その後初陣で勝利を治め、何もかもトントン拍子で進んでいたのですが、その順調な人生にも陰りが見え始めます。

 

政宗は自身の智謀に自信を持つあまり、人心を損得勘定で考えるようになりました。畠山義継の帰参を許した際も相手に屈辱を与えるような条件を突きつけ、義継を離反させようと仕向けます。

 

ところがこの義継が父の輝宗を拉致するという暴挙に出ました。結果、輝宗と義継は討ち死にしましたが、最愛の父を失った政宗の怒りの矛先は畠山家の殲滅に向かいます。

 

これを機に、反伊達勢力は連合軍を結成し、伊達家と相対します。これが人取橋の戦いです。結果、伊達家は辛くも勝利を収めますが、この戦いで忠臣を何人も失ってしまいます。

 

この戦いを戒めとして、伊達政宗は人としても戦国大名としても立派に成長するのでした。

                      続