No.21「伊達政宗 旅情大悟の巻」
家康が死んだ後、いよいよ悟りの境地に達したかに見えた政宗ですが、徳川幕府のぐらつきを目の当たりにして、またも野心を蘇ってしまいます。何故何度も繰り返してしまうのかと思われがちですが、この悟りと煩悩の繰り返しによって政宗は激動の時代を切り抜けたと言っても過言ではありません。
秀忠の時代となり、将軍の良き相談相手となった政宗ですが、その後も徳川幕府の側近は何かと政宗にちょっかいをかけ、伊達家の弱体化を図ります。将軍の信頼をもってしても安定が訪れる事が無かったため、政宗はこのような心境に陥ったのではないでしょうか。
秀忠が死に、なんと3代家光にまで使えることになった政宗。家光の精力溢れる活力に若き自分を重ねつつも、泰平の世を支えるため年の功でのらりくらりと将軍の挑発を躱していきます。徳川幕府を支えて往くために最期の諫言を終え、その人生を終えるのでした。
伊達政宗といえば生まれるのが後20年早ければ天下人になっていたと言われる人物ですが、この小説はそんな政宗の心境を的確に描いているため、非常に感情移入のしやすい本でした。
そろそろ戦国ものも飽きてきたので、次回からジャンルを変えてみようと思います