No.8「『心の時代』にモノを売る方法」
今回の一冊は小阪裕司さんの、「『心の時代』にモノを売る方法 変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来」です。
小阪裕司さんは九州大学の客員教授を勤めている方ですが、ビジネスに関するセミナーを度々開いており、自身のオンラインサロンでは幾人もの経営者が成功を治めている、ビジネスでは話題の方です。
私も小阪裕司さんの公演を日経BPで拝見し、もっと彼の話を聞きたいと思い、本書を手に取りました。
現代はモノからコトを売る時代と言われているように、消費者のニーズは以前とは全く違うものとなりました。
高度経済成長期では、消費者は今の生活に当たり前のようにあるものも満足に入手できなかったため(自家用車やケータイ)、モノを売ればそこに必ずニーズがあったわけです。
ですが、現在では誰もが当たり前のモノを所有し、より高品質なものがどの企業でも売られるようになったため、私達は人の感性に訴えかけた商品を提供しなければなりません。モノからコトというより、モノを通じてコトを売るという感覚です。
例えばカフェであれば、美味しい飲み物や食べ物を売るだけでなく、内装での空間づくりや読み物を取りそろけることで優雅な朝の時間を提供するということです。
つまりコトを売るというのはモノを消費している人も含めた、その背景全体のイメージを提供するということです。
したがって私達は価格や品揃えで勝負するのではなく、私達が思う人生を豊かにするような世界観を創り上げ、それを実現するために必要なモノを売って、消費者が持つ新しい需要に応えようということです。
ではどんな世界観が売れるかというと小坂さんは「嬉しい」と消費者が感じる世界観だと言います。確かにアドラー心理学の観点からみても、感謝や喜びというのは幸せに繋がるキーワードですので、学術的に考えてもこのアプローチは正しいと思います。
勿論一つ一つの方法は違うので具体的にどうすればいいのかという指南は本書にはありません。何回も実践してそこから何らかの共通点を見出すことで初めて小坂さんの言う「ワクワク系」のビジネスが理解できるのでしょう。
私も社会人としてトライアンドエラーを繰り返し、小坂さんの言うことを真に理解できるようになりたいです。