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No6.「『商品のモノマネ』のルール」

今回は辻本希世士弁護士の特許に関する一冊を紹介します。

辻本弁護士は特許事務所を一家で経営されている筋金入の特許専門家です。

 

特許とは要は高度な技術を発明した人に与えられるご褒美のようなもので、一定の期間では独占的に販売していいよというものです。

 

しかしモノやサービスは先駆者の模倣によって常に発展を遂げてきたわけですから、実は何か真似することは寧ろ国を挙げて推奨されています。したがってルールを守れば真似してもいいし、丸パクリしたら罰せられるというものです。

 

この本を読んで目からウロコだったことは3つあります。

ひとつは特許は登録が認められた後でも無効にされてしまうケースがあるということです。

実際、ある商品の裁判では特許権を侵害しているとして商品の販売停止を要求したものの、その特許は専門家であれば誰でも思いつくとして特許の登録そのものが無効になってしまったそうです。じゃあ最初から認可すんじゃねぇ!と言いたいところですね。

 

もうひとつは特許は完全なモノマネでなければ効力を発揮しないということです。特許出願の際に図面や詳細情報など様々な特徴を審査した後、特許が認められますが、特許権を侵害したとして槍玉に挙げられた商品にオリジナル商品と相違があれば、特許の範囲外となり、特許権を侵害していないことになるのです。超端的に言うとちょっとでも違えばOKということです。

 

最後に公知されたものの登録はできないということ。「この商品こんなに売れたんだ!じゃあ特許申請してうちの専売特許にしよう。」というのは実は認められないのです。だから企業はある商品を発明したら、販売やそれより遡って営業活動の前に特許を申請しなければ認可はされないのです。

 

また、知的財産というのはおおまかに4つに分類されます。特許、実用新案、意匠、商標です。特許は自然科学的な技術で高度なものの発明、実用新案も同じく発明に関するものですがこちらは高度でないものも含め、また登録の際は厳密な審査がありません。意匠は外観のデザイン、商標は企業のブランドを示すもの(ロゴなど)です。

 

このように特許は様々なルールがあり、もし自分の開発したものが他人のものと似てたりそっくりだったら、迷わず専門家に相談しましょう。あまりに参照することが多すぎて素人では判断できないというのが、私の知的財産に対する感想でした。